C01 究極理論からの加速宇宙の解明

素粒子物理学の究極の目標は、自然界の最も基本的な法則を発見し、この世界の成り立ちを根源から理解することにある。超弦理論は素粒子の標準模型を導出するために必要な要素をすべて備えており、さらに重力を含む量子理論として数学的な整合性を持つので、究極の統一理論の最も有望な候補である。宇宙開闢直後に急激な加速膨張期があったとするインフレーション模型は初期宇宙の理論として最も有望なものであるが、これが超弦理論から導かれるものであるか、またその場合には、インフラトン場のポテンシャルなど模型の様々なパラメータにどのような制限がつくのかを明らかにする。これは、本領域の LiteBIRD や Simons Array で観測を目指す宇宙背景マイクロ波輻射の偏光に予言を与える。また、超弦理論以外の量子重力の可能性にも目を向け、修正重力理論に基づく初期宇宙観測への予言を追及する。さらに、インフレーション期に起きた宇宙の量子ゆらぎの研究からも、素粒子の標準模型を超える統一理論に重要なヒントが与えられると期待される。宇宙の加速膨張の原因とされるダークエネルギーに関する焦眉の課題は、状態方程式のパラメータ w が -1 かどうかである。もし w が -1 でなければ、そのようなエネルギーを生み出す機構を理論的に解明することが必要になる。もし w = -1 であれば、ダークエネルギーの正体はアインシュタインの予言した宇宙項に他ならず、超弦理論の課題は、なぜその値が不自然に小さいかを説明することになる。本領域の SuMIRe プロジェクトの目的の一つは、まさにこの w の値やその時間発展を定めるものであり、超弦理論や修正重力の研究と協奏して、ダークエネルギーの正体に迫る。本研究では、超弦理論からのトップダウンの予言能力を高め、それによって本領域の実験や観測分野に指針を与えることを目指す。

大栗博司計画研究C01代表Caltech/Kavli IPMU
山本一博研究分担者広島大学
野村泰紀研究分担者Kavli IPMU
早田次郎研究分担者神戸大学