B04 次世代超大型光学赤外線望遠鏡TMTと高分散分光器による宇宙の加速膨張の直接検証

2020年代に稼働する次世代超大型地上光学赤外線望遠鏡(Thirty Meter Telescope以下TMT)を用いることによって実現可能となる、(1)「宇宙の加速膨張の直接測定」のための科学的・技術的検討を行う。TMTの大集光力を活かして多数の遠方天体の超高分散分光観測を行い、その吸収線の赤方偏移の10年にわたる経年変化を超精密に測定する。赤方偏移の時間変化は重力理論やダークエネルギーに一切依存しないクリーンな手法であり、時間変化の赤方偏移依存性を測定することによりダークエネルギーの正体にも迫ることができる。また、この超高分散分光観測から同時に、(2)「物理定数(微細構造定数、陽子・電子質量比)の時間変化に対する制限」、およびその応用として高空間密度で多視線分光観測することにより、(3)「銀河間物質の3次元構造の解明」、というこれまで不可能だった天文学を実現する。これらはいずれも、現在の望遠鏡では技術的に実現が難しいものであるが、TMTでは十分可能であり、これらを軸に今後展開される新しい天文学の発展は計り知れないものがある。これまでの天文学の枠組みを超え、天文学に革命的なパラダイムシフトを引き起こすばかりでなく、社会に絶大なインパクトを与える課題であることは間違いない。これらを実現するための基礎技術の習得と要素開発、および試験観測は、今から検討を進めるべき重要課題であり、本研究の主眼である。3つのサイエンスゴールに共通する超高分散分光観測の実現のために必須である光周波数コムを開発する。開発した光周波数コムをすばる望遠鏡高分散分光器(High Dispersion Spectrograph 以下HDS)に搭載し、分光器と合わせた全体性能の評価と実際の天文観測における波長測定精度向上を確認するための試験観測を実施し、TMTでの本格的な宇宙論研究の手法を確立する。

 

 

臼田知史計画研究B04代表国立天文台
稲場肇研究分担者独立行政法人産業技術総合研究所
美濃島薫研究分担者電気通信大学
千葉剛研究分担者日本大学
三澤透研究分担者信州大学
洪鋒雷連携研究者横浜国立大学
柏川伸成連携研究者国立天文台
青木和光連携研究者国立天文台
大久保章連携研究者独立行政法人産業技術総合研究所