A02 宇宙の揺らぎと構造の進化、その背後にある物理の究明

素粒子物理,宇宙論,天文学が有機的に結びつくことによって新たな分野を築きつつある. その原動力となっているのは,宇宙開闢時に生じた猛烈な加速膨張期であるインフレーション, 現在の宇宙膨張を加速させるダークエネルギー,そして減速膨張期における重力進化によって構造形成を行ったダークマターの存在である.とりわけダークマターは,インフレーション中に作られた密度揺らぎを元に現在の宇宙の構造を紡ぎ出すという重要な役割を担っている.ダークマターは、素粒子標準理論の枠組みで説明することが出来ず,従ってその本質的理解の為には標準理論を超える物理 (BSM) が必要不可欠である.このため,ダークマターの正体に迫り,その背後にある BSMを解き明かす為の研究が理論・ 実験の両面から活発に行われてきた.しかしながら,その正体は依然として謎に包まれている.

現在の宇宙における星,銀河,銀河団といった複雑で豊かな階層構造は実に絶妙なバランスの上に成り立っている.加速膨張はその急激な宇宙膨張によって構造形成の成長を抑制するため,二つの加速膨張期に挟まれた減速膨張期,とくに物質優勢宇宙において重力的不安定性によって密度揺らぎが成長する.この時の宇宙の支配的成分がダークマターである.特にダークマターの自己重力束縛系であるハローは,天文観測からダークマターの正体を探る上できわめて重要な観測サイトとなっている.本研究計画の研究目的は,ダークマターの密度揺らぎの生成および進化,ダークマターの生成および素粒子論的性質,ダークマターの構造形成史,ダークエネルギーとダークマターの統一的理解に関する深い理解を得ることにより,現在の宇宙の豊かな階層構造の素地を作り上げたダークマターの正体を解き明かし,その背後にある物理法則を究明することである.

研究成果

A02班の研究成果に関しては,こちらのページをご参照ください.

メンバー

高橋史宜計画研究A02代表東北大学
川崎雅裕研究分担者東京大学
郡和範研究分担者大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究
機構
樽家篤史研究分担者京都大学
伊部昌宏連携研究者東京大学
千葉柾司連携研究者東北大学
横崎統三特任助教東北大学